自動車整備ニーズの高まり
発展途上国では経済成長に伴い、所得が増加し、自動車の保有台数が大幅に伸びています。それにより、車検等の整備作業や、故障を未然に防ぐ点検作業、安全に関する知識はよりいっそう求められている状況です。
日本の自動車整備技術は非常に高いため、発展途上国などから日本の技術を学ぼうとする人が増加傾向にあります。日本の技術や技能を取り入れて、自国の整備技術を向上させたいと考えており、自動車整備のニーズが高まっています。このニーズに対応するため、平成28年4月に、技能実習2号移行対象職種へ自動車整備が追加されました。
人材不足の自動車整備業界の現状
日本の自動車整備は、人材が不足しているのが現状です。
人材不足になる原因は、4つ考えられます。
① 少子高齢化
現在、仕事をしている自動車整備士が高齢化する一方で、若い世代の自動車整備士が不足しています。
② 興味を持つ人の減少
若い世代で自動車に興味を示す人、自動車を所有する人が減少しています。そのため、自動車整備士という職業への興味も減少していると言われています。
③ 新しい技術を持つ整備士育成の遅れ
自動車はIT化が進み、増加する次世代自動車の整備に対応できる整備士の育成が遅れています。これまでの技術では対応できない電気自動車や水素自動車などの新しい車種も増えていくでしょう。
④ 離職率の高さ
自動車整備士の仕事内容は、体力が必要ということもあり、職場環境が過酷です。また低収入であることが多いため、若い世代が自動車整備士になっても、すぐに離職してしまいます。
技能実習「自動車整備」の業務内容
外国人技能実習生が修得すべき業務内容をご紹介します。
第一号技能実習生(入国から1年目)
「自動車点検整備作業」が修得すべき内容となります。
第一号での目標は、「法的点検に定める点検を自ら判断できること及びそれに基づく整備の補助ができるようになること」です。
タイヤ交換、オイル交換などの軽作業についても、一通り経験することが求められます。
また、日常点検の際、特に注意して点検する箇所および整備が伴う場合に使用する工具、交換部品などについても指導することで、第二号へ繋がります。そのため、第二号の作業内容に触れておくことも求められます。
第二号技能実習生(入国から2〜3年目)
第二号では、第一号時の「自動車点検整備作業」に加え、「自動車分解整備作業」が修得すべき内容となります。第一号技能実習での技能・知識の修得状況を確認しながら、第二号の「自動車分解整備作業」へ進みます。
第二号での目標は、「かじ取り装置、制動装置、走行装置などについて、法的点検に定める定期点検を技能実習生自ら実施し、整備できること」です。
実際に自動車の重要部品を点検・分解・整備作業を実施することになるので、段取りを含め、各装置の点検手法、構造、使用する工具やその取り扱いを指導することが重要です。
また、定期点検で行われる点検を、実習実施者の指導のもとで一通り経験していることが望ましいです。
例えば、第二号の1年目は、1年ごとの点検項目を経験し、2年目には2年ごとの点検項目を経験するなどの方法があります。
車検に関しても、1年目で一通りの作業を経験し、2年目には技能実習生自らの判断によって、作業できるようになることが望ましいです。
第三号技能実習生(入国から4〜5年目)
第三号では、「自動車点検整備作業」、「自動車分解整備作業」、「故障診断作業」の3つ作業全てが修得すべき内容となります。
第三号での目標は、「どの場合にどのような診断を実施するのかを理解させること」です。
最終ステップの第三号に入る前に、これまでの技能・技術・知識の修得状況を確認することが望まれます。
具体的には、「自動車点検整備作業」「自動車分解整備作業」の点検内容を理解しているか、点検作業を一通り経験しているか、技能実習生自らの判断によって実施できているかを確認する必要があると考えられています。
第三号では、「自動車点検整備作業」「自動車分解整備作業」に加え、自動車の故障診断を教育するため、基本的な技能・技術・知識を修得していないと、自動車の故障診断を的確に行えないとされているためです。
また、各装置の故障診断は、液漏れ、異音、異臭など「目視」によるもの、排ガステスタなどを使用する「テスタによる診断」があるためです。
参考:国土交通省 自動車整備技能実習ガイドライン
人材不足を解決するために、国内の自動車メーカーは、外国人の整備士を積極的に採用しております。実際の現場では、様々な国の人が一緒に働くことも増えており、グローバル化に対応できる整備士への需要は高いでしょう。
より詳しく自動車整備での技能実習生について知りたい、人材不足に悩んでいる、外国人技能実習生の受入れを検討している等ございましたら、お気軽にお問合せください。
自動車整備に携わっておられる皆様のお手伝いをさせていただきたいと考えております。